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橋:新町橋 妖精:アララ 怪獣:スピーダ

アララとスピーダ はじまりのかぜとおと

橋の上の風と音が、光になって、であった日

アララとスピーダ はじまりのかぜとおと

はじまり|はしの かぜ

かぜは いつも どこでも ふいている。

このはしにも、はしが できた その日からそっと ふいていた。

ひとが わたるたび、わらうたび、はなしを するたび、かぜは うまれては、きえていく。

かぜのひかり(さしえ)

アララ

アララ(さしえ)

けれど ある日、きえない かぜが うまれた。

きらきら ひかるふしぎな かぜ。

その ひかりはだんだん つよくなり――

やがてちいさな すがたに なった。

それが アララ。

かぜのある日

アララは ひとが たくさん いるとにこにこ。

かぜが つよいともっと にこにこ。

スピーダ(さしえ)

かぜのない日

でも その日は、はしに だれも いなかった。

しずか。とても しずか。

スピーダ(さしえ)

かわのあわ

ぽこ。ぽこぽこ。

みずの うえにおとの あわが うかんだ。

みずのうえに あわ

スピーダ

「おと、たりない」

あらわれたのはちいさな かいじゅう。

それが スピーダ。

スピーダ(さしえ)

みんな あつまれ

アララは きづいた。

ひとが いないと、かぜも おともうまれない。

「みんなを よんできて」

ちいさなちいさなアララたちが、まちへ とびだした。

ちいさなアララ

みんな あつまれ

ひとが あつまる。あしおと。わらいごえ。そして、かぜ。

おとが ふえ、かぜが まざり、スピーダは かがやいた。

ちいさなアララ

みんな いっぱい

「おと いっぱい!」 「うん、かぜも いっぱい!」

ちいさなアララ

おわり|まちはげんき

ふたりは、はしを こえて そらへ かけだした。

  

きょうも、しんまちばしには、かぜ と おと がめぐっている。

  

アララとスピーダがいるかぎり、このまちは、きっとげんきだ。

ちいさなアララ

プロローグ|風はいつも

風はいつも、どこでも吹いている。

その橋も、かかったころから、吹いていた。

人々が行き交うことで、起こす風。けれど、それは必ず消えていく。

強い風、弱い風、穏やかな風、荒れた風、どんな風であろうとも。

そんなある日、行き交う人々の間に、不思議な風が生まれた。

新町橋の風(挿絵)

第1章|アララ

アララ誕生(挿絵)

光の粒子をまとった、その風は、きらめきながらも、不思議なことに、人々には気づかれず、いつまでたっても消えなかった。

やがて、風の光は強くなり、ひとつのかたちになった。

それがアララ。

この橋の風から生まれた妖精。

アララは、人々の起こす風が多ければ、強ければ、笑顔だった。

第2章|かぜとおと

その橋が、人々が、起こすのは風だけではない。

人々が行き交うことで、おきる音。それも同じように、おきては消えていく。

アララは、そんな音も大好きだった。

アララの表情

第3章|さびしい日

その日は、珍しく橋に人の姿がなかった。

アララは、欄干に腰かけ、寂しげに水面を見つめていた。

今日はこんなにいい天気なのに、どうして、元気が出ないんだろう。

どうして、こんなにさびしいんだろう。

アララの表情

第4章|スピーダ

ふいに、水面が揺れ、ぽこっぽこっと音の泡がたった。

驚いて見ているアララの前に、不思議な生き物があらわれた。

「おと、たりない。おと、ちょうだい」

そのいきものは、かなしそうにアララを見て言った。

それが、スピーダ。この橋の音の怪獣だった。

アララの表情

第5章|みんなを、あつめよう

アララは気がついた。

街が静かだと、風も音もおこらない。

アララは橋の上に立ち、呼びかけた。「みんなを、集めてきて!」

ちいさなちいさなアララが、四方八方に散っていった。

ちいさなアララは、あの手この手で、人間を呼ぼうとした。

あるものは、おいしいにおいで、あるものは、かぐわしい花のかおりをはこんで。

なんにんものちいさなアララは、ちからをあわせて、むりやり背中に風をふきつけて。

アララの表情

第6章|アララとスピーダ

そうして、人が少しずつ集まり始めた。

風が生まれた。静かな風、急ぐ風。

音が生まれた。人が歩く音、話す声、笑い声。

そのざわめきを、同じように生まれた風がスピーダに運ぶ。

その音がスピーダに吸い込まれ、その体が輝いた。

その輝きは、風と混ざり合い、光の粒子となってアララの周りを舞った。

アララの表情

第7章|おと いっぱい かぜ いっぱい

おとに乗って、スピーダがアララのそばにやってきて笑った

「おと いっぱい」

アララも笑った。とても幸せな気持ちで。

「うん、かぜも、いっぱい」

スピーダ登場(挿絵)

エピローグ|きっと元気

ふたりは、行き交う人々の間を、橋の欄干を、そして、空高くを、うれしそうにかけていった。

今日も新町橋には、風と音がめぐっている。

アララとスピーダがいるかぎり、この街は、きっと元気だ。

スピーダ登場(挿絵)